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小樽港第3号ふ頭水上カフェ計画

物流の拠点から、市民の日常生活の拠点へと。港湾全体の再開発計画の最初の起爆剤となることが期待されているプロジェクト。現在の小樽は有名な運河沿いににぎわう観光地が続くものの、駅からつながる市民の街と港が分断される構造を持つ。物流拠点としての役割を終えつつある港(みなと)を、市民の巷(ちまた)として取り戻す。

小樽の未来を見据えた港湾再開発計画が市民主導で動き出している。水上カフェは、港湾振興プロジェクトの起爆剤となるよう計画されている。「はじまり」の場所に、ふ頭が自分たちの居場所であるという意識を持つきっかけとなるように、水上に浮かぶ小さなカフェが構想された。この水上カフェは、港と運河をめぐる遊覧船の発着場としても機能を持つ。

北運河、色内ふ頭からかつて伸びていた桟橋、旧税関跡地、遠く石狩湾を望み、背景には天狗岳が見える。ここは小樽に住む人びとの原風景の交差点。建築は、それらの記憶と風景をゆるやかに意識づけるように考えた。小さな建築に、最大限の方向性を埋め込むように、記憶と風景の羅針盤のような構成を考えた。

少しずつ違うレベルの床が、角度を変えながら積層する。それぞれの床をグルグルとめぐることで、小さな建築の中に最大限の距離を内包し、違う場所の体験を最大化する。何度訪れてもその都度違う発見があるような、人々の動きを誘い飽きさせないしかけとなっている。

<構造コンセプト>

長スパンの細長い床の積層によるダイナミックな建築計画と、海上の建築であることから錆びの抑制と軽量化を同時に解決するシステムとして、鉄筋で補強された集成材により巨大なシーソー状の梁を計画した。シーソー同士が組み合わさることで互いにバランスを取り、端部ではスチールの引張材を配して不釣り合い力に抵抗する。長スパンを支持する鉄筋補強木材梁に加え、床面にはCLTを用いることで面内変形を極小に抑えるとともに、ねじれ振動も抑制可能としている。

 

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